夏祭り その

2003年7月26日、S病院で初めての夏祭りが行われました。
午後3時30分、比較的元気な患者様が車椅子やケアワーカーの介助を受けながら会場の病院前駐車場に登場です。頭にはかわいいリボンのついた麦わら帽子、車椅子には紙で作った色とりどりの花がついています。約40人の患者様とボランティア40人、職員55人が揃ったところで始まり始まり!

院長の挨拶があり、プログラム紹介の後、まず患者様のレクレーション体操がはじまりました。ほとんどが車椅子のままですが、「北国の春」のメロディにあわせて参加者全員が患者様と笑顔をかわしながら踊って、いい感じです。

雰囲気が盛り上がったところで今度はボール送りです。コースからボールがはずれるとボランティアさんがお手伝い。ゴールにはくす玉が用意され、アンカーが紐を引くと、見事に「おめでとう」の垂れ幕が出て、歓声と拍手が沸き起こりました。 

続いて自治会の民謡グループの踊りです。ゆかた姿もあでやかな身のこなしです。患者様は地元の方が多いこともあってとてもうれしそう。もちろんこの輪にはボランティアや職員も入っています。
さてこのあたりからと、太鼓が「ドンツク、ドンドン」。おば様三人組の威勢のよいたたきぶりに、会場全体でホレボレしてしまいました。

楽しい時間とは裏腹に、疲れが見え始めた患者様もいらして、医師、看護師、ケアワーカーが息つく暇もなく状態をチェックし、そしてお部屋にお戻しするのに大忙しでした。

あらまあ今度は、きょう市内で行われている百万灯祭りを抜け出てきた二人組の飛び入りで、「やっこさん」がはじまりました。紅白の衣装にねじり鉢巻きで、ひょうきんにまた威勢よく踊りだします。会場は「アラ、エッサッサアー」の掛け声をかけながらも、すっかり見とれています。

このころには賑やかな音色に誘われ、子供づれで近所の人々が集まりだしました。子供さんにはゲームコーナーで、ダーツと輪投げで楽しんでもらいました。三ゲームで交代し、ご褒美はシャボン玉やけん玉など、昔懐かしいオモチャです。

あれやこれやで、2時間があっという間に過ぎてしまいました。一番長く外にいた患者様で約2時間、短い方はほんの数分間でしたが、どなたもとても喜んでくださいました。見物の方々も加えると総勢230人参加の夏祭りは予定通り午後6時に終了しました。

その後の数日間はお祭りの話で盛り上がりました。患者様の写真を院内に張り出したところ希望が多く、一時期DI室が写真屋さんにはや替わりでした。

数日後、実行委員会や各部署で反省会を行いました。何より手違いや事故がなかったことが一番でした。

会場周りに張った紅白幕は病院ではめったにみられる光景ではありませんし、トラックの荷台を舞台らしくするために、すっぽり紅白幕でおおったことも効果的でした。

出店のおでんやフランクフルトもおいしいと評判で、一度自宅にもどり、器を手に再び買いに来てくださり、売り切れになるほどでした。

ご来場の方々からは、病院でこんなことをするのかと質問され、病院が長期療養型となり、入院中の患者様には高齢者が多いこと、もちろん地域支援をすることもお答えしました。

会計の締めではどうやら収支はトントン。赤字250円はご愛嬌です。また受付で配布したアンケートでいただいた感想には、多くの感謝の言葉もありました。また今年は冷夏に助けられました。高齢者は暑さや寒さには弱いので最大の検討事項は開催時期にあると結論がでました。

この夏祭りは、私にとっても大きな収穫でした。多方面の部外者の協力はとても大切で、日ごろからボランティアも含め、お付き合いをさらに大切にしたいと考えました。そして職員がひとつの方向に向かって取り組む時、このように団結力が高まり、目覚しい働きができるものと改めて実感しました。また職員の皆が『来年もぜひ』と声をあげて下さったことは、今後の大きな励みとなり、「またがんばろう」の気持ちを引き出してくれたのでした。