花粉症について


概要

  • スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどが起きる病気を花粉症といいます。
  • 去年までこのような症状がなかった人も、突然今年からという場合もあります。
  • 症状は花粉が飛ぶ季節がすぎると自然に治まります。
  • 一度花粉症が出ると翌年も再び症状が出る場合が多いようです。
  • 現在、日本では10人に1人の割合で見られます。また、一般的には20〜40歳くらいに多く見られ、比較的に女性に多いようです。

 

発症の過程

  1. 花粉が鼻や目の粘膜に付着すると、アレルギーを起こす物質(抗原)が花粉から溶け出します。
  2. 抗原をやっつけるために、体内で抗体(IgE抗体)ができます。
  3. IgE抗体は「肥満細胞」にくっついて、新しく抗原が体内に入るのを待ち構えています。
  4. IgE抗体が新しく入ってきた抗原を捕まえると、「肥満細胞」がヒスタミンなどを放出します。
  5. このヒスタミンの作用でくしゃみや鼻水がでて、抗原を体外に出そうとします。また鼻づまりは鼻の粘膜がはれて花粉が鼻から吸い込まれにくくしようとするためです

 

花粉症の原因植物と飛散時期

スギ 1月はじめ〜4月終わり
ヒノキ 2月中旬〜5月中旬
ハンノキ 1月はじめ〜4月終わり
シラカバ 3月中旬〜5月中旬
ケヤキ 4月はじめ〜5月中旬
イネ 6月終わり〜8月中旬
ブタクサ 7月中旬〜10月終わり
ヨモギ 8月はじめ〜9月終わり
カナムグラ 7月終わり〜10月中旬
  • 花粉の飛ぶ時期は地域により、違ってきます。また開花時期の気温も影響します。

  • 花粉量はその日の天気にもよりますが、往々にして曇りや雨、また湿度が高ければ少ないようです。

 

花粉症が増えてきた理由

スギは30年以上たつと花粉をつけます。今は戦争以来30年以上経ってきたため、大量の花粉が撒き散らされているのではないかと言われています。
また日本人の食事内容の変化がIgE抗体を作りやすくしているとも言われています。
さらに大気汚染、特にディーゼル車の排気ガスも原因ではないかと言う説もあります。

 

診断

問診− 年齢・性別・職業・症状の種類・程度・発症年齢・好発期・合併症・アレルギー既往歴・家族歴・過去や現在の治療歴と経過
検診− 鼻鏡検査・頭部X線検査・好酸球検査・皮膚テスト・誘発テスト・血清IgE抗体測定(花粉症の出ている時期に行う) 
重症度判定− 臨床的にはくしゃみ・鼻漏・鼻閉で決めます。

 

予防と対策

鼻ムズムズにマスク・鼻腔洗浄
目のかゆみにメガネ・目薬や目の洗浄
体質改善に 茶や漢方薬、減感作療法
その他として布団乾燥機・空気清浄機など

 

治療法

@薬物療法

点鼻薬 ザジテン・インタール・ベコナーゼ・アトロベント
点眼薬 ザジテン・ケタス・インタール・アレギサール・フルメトロン・AZ
内用薬 アレジオン・セルテクト・ザジテン・オノン・アレギサール・アイピーディ・セレスタミン


A減感作療法

花粉症の原因物質(抗原)を少量づつ注射し、徐々に免疫力(抵抗力)をつけていく方法です。この方法は免疫力がつけば症状は軽くなりますが、長期間かかるため根気のいる治療法です。しかし1年中アレルギー症状が出るダニやハウスダストのアレルギー性鼻炎にはよくすすめられる治療法です。本法の注意すべき副作用として注射部位の腫脹・かゆみ・ショック症状があるので医師の十分な説明を受ける必要があります。