ジェネリック医薬品のこと

医薬品(以下、薬と略します)は町で売られている大衆薬(OTC)と病院などで使われる医療用薬があります。

医療用薬は、日本では従来からある先発品と呼ばれるいわゆる一流の製薬会社が研究開発して売り出しているものがほとんどでした。これらは数百億円というお金と十数年という気の遠くなるような時間をかけて作りだされて製品となりました。ところがこの先発品は発売後わずか10年で特許切れとなります。そしてこの特許切れを待って、その後研究開発の手間を省いた形で後発品が登場します。薬には法的に決められた薬価(薬の値段)がありますが、このようなことから先発品にくらべ後発品の薬価はそれなりに安価となるのです。後発品は昔から「安かろう、悪かろう」のイメージが持たれた時代もあったのですが、最近ではそのような傾向はほとんどなくなりました。そこで後発品も一般的な薬ということでジェネリック医薬品と呼ぶようになってきました。このジェネリック医薬品は、近ごろの世の中の不況や医療制度改革の後押しで普及が広がってきています。良い物を安く供給することがとても重要視された結果とも考えられます。

またジェネリック医薬品について、オレンジブックをはじめ、研究機関での科学的な分析による安全性や有効性の根拠となるデータが発表されはじめています。現在我が国の医療経済はパンク寸前の様相ですが、ここで安価なジェネリック医薬品を使用することでの医療費削減効果は大きいと当然予想されます。同様の効果は医療機関にも共通する効果です。またこれは患者様にとっても、薬代が安価となることで、自己負担分が3割へと増加した現状からみて歓迎されるものでしょう。

ではこのように薬に関与する国・医療機関・患者の三者が歓迎するなら素直にジェネリック医薬品が導入できるように思えますが、必ずしもそうとはいえません。まず@ブランド志向―先発品が良い薬という先入観からくる思いこみが医療者にも患者様にもあること、A品質確保と情報提供―ジェネリック医薬品そのものが評価を受ける姿勢が整っていないため、まだデータが乏しいものがあること、そしてさらにB供給の安定性―ジェネリックメーカーのほとんどは中小企業であり、大規模医療機関の需要に応じられる体制が整っていない場合もあることです。

すでにあちらこちらの医療機関ではジェネリック医薬品の取り扱いをはじめています。これらの導入では私たち薬剤師としては知恵をしぼり、製品そのものの見極めとともにスタッフへの影響などを考慮し、皆さんの協力の下に進行することを心がけます。そして特に内用薬の導入の際には格別の気遣いをします。内用薬は患者様の手元に薬が直接渡るため、一段と注意深く製品の選別を行うが大切です。医療に不可欠の医薬品を適性に使用することが医療人としてより良い医療を続けることにつながるとの思いを大切にして今後もジェネリック医薬品導入を進めていきたいと考えております。