疥癬鏡検手順

 

 

顕微鏡:最大100150倍の観察が可能な顕微鏡。

スライドガラス、カバーガラス

検体採取用ピンセット:先が細く尖ったもの

白癬菌検出液:ズーム液(エスエス製薬)5ml/1本 ¥1,500.−(参考)

組成:ジメチルスルホキシド・・・40w/v

 水酸化カリウム・・・・・・・・・15w/v

撮影用機材:デジタルカメラ 画素数に指定はないが2メガピクセル以上で、接写機能のあるものが望ましい。

 

採取から検体作成へ

準備:ディスポ手袋をする、採取後すぐに手指消毒ができるようにラビング剤を用意しておくなど感染予防策を行なってから採取する。

採取部位:検体を採取する場所は疥癬トンネルと思われる場所、又はそけい部・腋下などの発疹部。一般的には発疹は疥癬虫の死骸や糞などに対するアレルギーであり、成虫が検出されることは少ない。

 

数ケ所の採取部位を決めた後、医師がピンセットなどで深めにつまみ取る。採取した検体をスライドガラスに載せ、ただちにズーム液を1滴だけ滴下する。続いてカバーガラスをかぶせて約5分間待つ。角質が十分に透徹されたことを確認し、必要であればボールペンの先などでカバーガラスを加圧し検体を作成する。

 

鏡検から判定、撮影

〇拡大率100倍で観察し、検体の全ての視野において虫体、虫卵と思われる物が無いか慎重に観察する。

〇最終判定は医師が行うが、判定した医師を含め2名以上で確認する。

〇判定が難しい検体については更に数人で確認し、十分に検討の上判定する。またこの場合、検体採取から判定までを再度行なうことが必要である。

〇疥癬陰性の場合は患者の症状に合わせ適切な処置を行う。

〇陽性ではないが、陰性と確定できない疑い例には、疥癬マニュアルに準じた処置を医師の判断で選択して行なう。

〇虫体または虫卵が認められた場合は陽性と判定し、マニュアルに沿って処置を開始する。〇家族への説明のため、認められた視野を撮影・印刷しカルテへ挟み込む。

〇撮影にはデジタルカメラを用い、早急の画像確認が出来るように対処する。

 

参考資料

 

  通常疥癬:ヒゼンダニの数は多くても一人につき1,000匹程度。

検体中では虫体よりも虫卵を認めることが多い。

  ノルウェー疥癬:ヒゼンダニの数は一人につき100200万匹に達すると言われる。

検体中のほとんどに虫体が認められ、一視野に多数匹認められることが多い。

手指の肥厚や、全身の発赤状態を起こしており、発疹がわかりづらい場合もある。

 

  ヒゼンダニ

大きさはメスの成虫で0.4mmくらいで、オスの成虫はもっと小さい。

若いヒゼンダニには足は6本(3対)だが、成虫は8本(4対)あるので区別することが可能である。

 

  疥癬トンネル

通常疥癬症では疥癬トンネルが見られることが多いが、感染初期や手を自由に動かせない患者では疥癬トンネルはほとんど見られない。