服薬指導業務マニュアル ※服薬指導書類 @依頼書---------入院時医師が作成 A内容確認書-----Cのうち指導内容要点の記入、カーデックスへ入れる Bデータ票----様様な患者情報を記入し、薬剤師が手元に持つ C指導記録-----指導内容すべて記入し、薬剤師が手元に持つ D算定確認-----指導月日・指導薬剤師名記入、カルテへ入れる 1. 服薬指導前の情報収集 2. 患者対応心得 3. 服薬指導の方針 4. 服薬指導内容 5. 服薬指導記録 6. 服薬指導記録の保管 1. 服薬指導前の情報収集 主治医からの患者情報収集 「服薬指導依頼書」を参考に以下のことを把握する。 入院理由・既往歴・予想される入院期間・治療方針・指導方法(薬の作用説明・副作用の説明の有無・飲み忘れ時の対応 看護婦からの患者情報収集 看護婦から見た患者の印象(性格・理解度・意欲・順応性・疾患に対する受容度)を参考に、看護目標と現在の進行度を把握する。 カルテからの患者情報収集 カルテから患者についての以下の事柄を中心として「患者データ票」を作成する。 氏名・年齢・情緒・運動量・食事・内服状況・運動能力・血液などについての臨床検査値 回診・カンファレンス・申し送りにおける患者情報収集 薬剤師は回診に同行参加して薬物療法の適正を判断し、更に服薬指導上の患者情報を把握するように努めなければならない。また薬剤師は患者から得た情報を回診・カンファレンス・申し送りなどに役立つためにスタッフに提供するように努めなければならない。 入院時の患者情報収集 患者について、主治医・看護婦・カルテ等からの情報を元とした上で入院時の患者面接を行い、以下の事項を中心として「患者データ票」の補足記入をおこなう。 疾患・既往歴・アレルギー経験の有無・副作用経験の有無・併用薬(OTCを含む)の確認・妊娠及び授乳について・嗜好及び食生活や生活環境・1日の生活リズム 2. 患者対応心得 処方から推知されたり、指導より得られた患者のプライバシー情報は守秘しなければならない。 患者背景を理解し、病態及び処方薬を周知しておかなければならない。 *患者の指導にあたっては、患者に信頼されるように常に言動に注意しなければならない。 医師の治療方針を妨げてはならない。 医師・看護婦と情報交換を密に行い、患者に不安感を抱かせないように意見を統一しておかねばならない。 患者指導は、情報の全てを患者に伝えることではない。患者の状態・状況を考え、無用な心理負担を与えるような内容・表現は避けなければならない。 患者の訴え・質問には充分耳を傾け、患者の意図することをくみ取り理解に努め応答しなければならない。 患者情報収集は積極的に行わなければならない。また指導後の情報はカンファレンス・申し送り・記録等によりスタッフへ充分伝達するように努めなければならない。 3. 服薬指導の方針 指導方針は、以下の事柄を検討し、医師の治療方針・処方薬・患者の社会的背景を考慮して決定する。 誰に:患者自身(小児・精神障害者・高齢者ではその家族でもよい) どこで:ベッドサイドまたは談話室 どれくらいの期間:退院日まで いつ:1日のうちで患者心理が安定している時 どのような方法:患者の性格・能力に応じ、合理的かつ効果的な指導方法 どの程度:指導内容の程度は患者の理解度を考慮した上で、医療チームスタッフと相談して指導目標を決定 4. 服薬指導内容 薬剤投与の意義について説明 患者に服用の意義を説明することで、自己判断による服用中止、ノンコンプライアンス等を防止する。 服用方法・使用方法の説明 患者が服用方法・使用方法を正しく理解できるように、わかりやすい用語、指示方法などを工夫する。 薬品名・薬効について 患者の理解度に応じて、医師との打ち合わせに基づいて説明する。 「警告」「使用上の注意」の取扱について 添付文書記載の「警告」・「使用上の注意」は、医師・薬剤師などが相互作用や副作用について患者に説明しておいたほうがよい事柄もあるので、医師と協議の上必要時に説明を行う。 副作用の説明と状況把握 ノンコンプライアンスの理由に、副作用を恐れて自己判断で服薬中止としている場合が見られる。副作用を強調しすぎると患者が不安感を増強することがあるので副作用の説明は慎重を期する必要がある。医師との協議の上、必要なものについて説明を行う。 服薬指導に関連した日常生活の指導について 服薬に関連して日常生活の中にも注意すべきことがある。車の運転・食事・飲酒・OTC薬の服用などの関する指導も必要に応じて行う。 薬の保管上の注意について 冷所・遮光・防湿などの保管上の注意、小児の誤用・誤飲防止の注意などを具体的に示す。 その他について 治療や治療方針についての質問には、医師と相談することを助言し、薬剤師は医師の治療の妨げにならないように注意する。 服薬の確認を必ず行う。 飲み忘れ時の注意は、必要に応じて説明する。 尿・便の色調変化のある薬については、事前に説明しておく 5. 服薬指導記録 患者との面談を「服薬指導記録」に以下のようにSOAP形式に分類しながら記録するように努める。 SOAP形式の実践は薬剤師の視点・問題点・解決過程を明確に示すが、日常業務の中で全ての事例に実行することは不可能であるから、的をしぼり適応していく必要性を探りながら行うものである。 S=(Subjective)(主観的情報) 患者の主訴・症状 O=(Objective)(客観的情報) Vital Sign・検査所見・心電図・レントゲン写真・など薬剤師は主観的・客観的な所見を熟知し、薬剤に関する問題点、特に副作用などに注意を向ける必要がある。 A=(Assessment)(評価) 薬剤師は、主観的・客観的な所見データから問題点を解析し、医師の行う治療計画の立案などの参画する必要がある。また薬剤の副作用などの立証に視点をおいて専門的評価を加える必要がある。以下の評価の視点を考慮されたい。 処方の必要性の推定 薬物療法の妥当性(患者固有情報・投与量・投与法・剤形・投与期間などの適否) 副作用などの患者の主訴、検査所見などの判定 コンプライアンスと治療効果の評価 P=(Plan)計画 評価の項目で、患者への適切な薬剤を検討し、投与・指導計画を設定して医師の治療計画に参画する。 6. 服薬指導記録の保管 服薬指導記録は診療録・看護記録と共に保管する。 服薬指導記録は全てのスタッフが自由に閲覧出来、スタッフ同士で自由な意見交換の情報源となるべきである。 服薬指導記録は最終の記入日から最低3年間保存義務がある。 【トップページへ戻る】
服薬指導業務マニュアル
1. 服薬指導前の情報収集 2. 患者対応心得 3. 服薬指導の方針 4. 服薬指導内容 5. 服薬指導記録 6. 服薬指導記録の保管
1. 服薬指導前の情報収集
「服薬指導依頼書」を参考に以下のことを把握する。 入院理由・既往歴・予想される入院期間・治療方針・指導方法(薬の作用説明・副作用の説明の有無・飲み忘れ時の対応
看護婦から見た患者の印象(性格・理解度・意欲・順応性・疾患に対する受容度)を参考に、看護目標と現在の進行度を把握する。
カルテから患者についての以下の事柄を中心として「患者データ票」を作成する。 氏名・年齢・情緒・運動量・食事・内服状況・運動能力・血液などについての臨床検査値
薬剤師は回診に同行参加して薬物療法の適正を判断し、更に服薬指導上の患者情報を把握するように努めなければならない。また薬剤師は患者から得た情報を回診・カンファレンス・申し送りなどに役立つためにスタッフに提供するように努めなければならない。
患者について、主治医・看護婦・カルテ等からの情報を元とした上で入院時の患者面接を行い、以下の事項を中心として「患者データ票」の補足記入をおこなう。 疾患・既往歴・アレルギー経験の有無・副作用経験の有無・併用薬(OTCを含む)の確認・妊娠及び授乳について・嗜好及び食生活や生活環境・1日の生活リズム
2. 患者対応心得
処方から推知されたり、指導より得られた患者のプライバシー情報は守秘しなければならない。
患者背景を理解し、病態及び処方薬を周知しておかなければならない。 *患者の指導にあたっては、患者に信頼されるように常に言動に注意しなければならない。
医師の治療方針を妨げてはならない。
医師・看護婦と情報交換を密に行い、患者に不安感を抱かせないように意見を統一しておかねばならない。
患者指導は、情報の全てを患者に伝えることではない。患者の状態・状況を考え、無用な心理負担を与えるような内容・表現は避けなければならない。
患者の訴え・質問には充分耳を傾け、患者の意図することをくみ取り理解に努め応答しなければならない。
患者情報収集は積極的に行わなければならない。また指導後の情報はカンファレンス・申し送り・記録等によりスタッフへ充分伝達するように努めなければならない。
3. 服薬指導の方針
指導方針は、以下の事柄を検討し、医師の治療方針・処方薬・患者の社会的背景を考慮して決定する。
誰に:患者自身(小児・精神障害者・高齢者ではその家族でもよい) どこで:ベッドサイドまたは談話室 どれくらいの期間:退院日まで いつ:1日のうちで患者心理が安定している時 どのような方法:患者の性格・能力に応じ、合理的かつ効果的な指導方法 どの程度:指導内容の程度は患者の理解度を考慮した上で、医療チームスタッフと相談して指導目標を決定
誰に:患者自身(小児・精神障害者・高齢者ではその家族でもよい)
どこで:ベッドサイドまたは談話室
どれくらいの期間:退院日まで
いつ:1日のうちで患者心理が安定している時
どのような方法:患者の性格・能力に応じ、合理的かつ効果的な指導方法
どの程度:指導内容の程度は患者の理解度を考慮した上で、医療チームスタッフと相談して指導目標を決定
4. 服薬指導内容
患者に服用の意義を説明することで、自己判断による服用中止、ノンコンプライアンス等を防止する。
患者が服用方法・使用方法を正しく理解できるように、わかりやすい用語、指示方法などを工夫する。
患者の理解度に応じて、医師との打ち合わせに基づいて説明する。
添付文書記載の「警告」・「使用上の注意」は、医師・薬剤師などが相互作用や副作用について患者に説明しておいたほうがよい事柄もあるので、医師と協議の上必要時に説明を行う。
ノンコンプライアンスの理由に、副作用を恐れて自己判断で服薬中止としている場合が見られる。副作用を強調しすぎると患者が不安感を増強することがあるので副作用の説明は慎重を期する必要がある。医師との協議の上、必要なものについて説明を行う。
服薬に関連して日常生活の中にも注意すべきことがある。車の運転・食事・飲酒・OTC薬の服用などの関する指導も必要に応じて行う。
冷所・遮光・防湿などの保管上の注意、小児の誤用・誤飲防止の注意などを具体的に示す。
治療や治療方針についての質問には、医師と相談することを助言し、薬剤師は医師の治療の妨げにならないように注意する。
服薬の確認を必ず行う。
飲み忘れ時の注意は、必要に応じて説明する。
尿・便の色調変化のある薬については、事前に説明しておく
5. 服薬指導記録
患者との面談を「服薬指導記録」に以下のようにSOAP形式に分類しながら記録するように努める。
SOAP形式の実践は薬剤師の視点・問題点・解決過程を明確に示すが、日常業務の中で全ての事例に実行することは不可能であるから、的をしぼり適応していく必要性を探りながら行うものである。
S=(Subjective)(主観的情報) 患者の主訴・症状 O=(Objective)(客観的情報) Vital Sign・検査所見・心電図・レントゲン写真・など薬剤師は主観的・客観的な所見を熟知し、薬剤に関する問題点、特に副作用などに注意を向ける必要がある。 A=(Assessment)(評価) 薬剤師は、主観的・客観的な所見データから問題点を解析し、医師の行う治療計画の立案などの参画する必要がある。また薬剤の副作用などの立証に視点をおいて専門的評価を加える必要がある。以下の評価の視点を考慮されたい。 処方の必要性の推定 薬物療法の妥当性(患者固有情報・投与量・投与法・剤形・投与期間などの適否) 副作用などの患者の主訴、検査所見などの判定 コンプライアンスと治療効果の評価 P=(Plan)計画 評価の項目で、患者への適切な薬剤を検討し、投与・指導計画を設定して医師の治療計画に参画する。
Vital Sign・検査所見・心電図・レントゲン写真・など薬剤師は主観的・客観的な所見を熟知し、薬剤に関する問題点、特に副作用などに注意を向ける必要がある。
薬剤師は、主観的・客観的な所見データから問題点を解析し、医師の行う治療計画の立案などの参画する必要がある。また薬剤の副作用などの立証に視点をおいて専門的評価を加える必要がある。以下の評価の視点を考慮されたい。
処方の必要性の推定
薬物療法の妥当性(患者固有情報・投与量・投与法・剤形・投与期間などの適否)
副作用などの患者の主訴、検査所見などの判定
コンプライアンスと治療効果の評価
評価の項目で、患者への適切な薬剤を検討し、投与・指導計画を設定して医師の治療計画に参画する。
6. 服薬指導記録の保管
服薬指導記録は診療録・看護記録と共に保管する。
服薬指導記録は全てのスタッフが自由に閲覧出来、スタッフ同士で自由な意見交換の情報源となるべきである。
服薬指導記録は最終の記入日から最低3年間保存義務がある。